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田村 麻人

AGC株式会社 マネージャー
研究キーワード:レーザー加工/ガラス加工

現在携わっている研究について教えてください

私は今、企業でレーザー加工の研究開発をしています。修士課程ではセラミック材料の合成など、材料寄りの研究をしていたため、修士課程を修了し企業に入った当初は、レーザー加工についての詳しい知識はまったくありませんでした。
そんな私がレーザー加工の研究を始めたきっかけは、企業の研究所で働くなかで、当時の部署の方針でレーザー加工が注力分野に選ばれたことです。
「レーザー加工」という大きなテーマは決まっていましたが、レーザー加工で何をするのかについてはある程度プロジェクトメンバーの裁量で自由に選択ができました。そこで私は「セラミック加工」をサブテーマの一つに選びました。

私がセラミックを選んだ理由は、修士課程で材料を作る側にいたため、セラミックについてある程度理解していたから、そして、今後も成長が見込める素材であると思ったからです。レーザー加工についても、入社当時からレンズや光関係の仕事をしていたので、なんとなく雰囲気が想像できました。それまでのキャリアを少しずつ繋げて考えてみた結果、この選択が自分にとっても最適だと思えました。

これはまた、社会人ドクターとして博士号を取得することも視野に入れての選択でした。当時研究所では、研究員の博士進学を後押しする制度があり、私もこれに応募しました。博士課程では、レーザーを用いたセラミックの微細加工をテーマに掲げ、研究を行いました。その後、今の企業に転職したのですが、現在も同じくレーザー加工についての研究開発を行っています。

研究者として働く魅力は何だと思われますか

そうですね。企業で働く研究者に限ると、研究者は大きく2つのタイプに分類されると思っています。より研究寄りで他のプロジェクトの支援を主な貢献とし、企業に入ってからも論文を書くタイプと、研究を製品・物作りへと発展させていく仕事がメインのタイプです。多くの方が後者で、この場合入社後はほとんど論文を書きません。私自身も後者で、今論文を書く機会はありませんし、これからもおそらく書かないと思います。
ただ、私の場合は、博士での研究が、そのまま今の製品に活かされている感じがあるので、すごくやりがいがあるというか、嬉しいんですよね。
私が誰よりも詳しく知っている分野があって、その分野の研究を使わないと作れない製品があるって、嬉しいじゃないですか。私にとっては、それが一番大きな原動力になっています。

研究者を目指す博士学生に、メッセージをお願いします

これまでの、大学などいわゆるアカデミアの研究者には、割とやりたいことをやっていて給料はそれほどでもないというような、清貧に近いイメージがあったように思います。「薄給でも気合いで頑張ろう」みたいな感じですね。ですが、今は大学と民間をまたいだ転職や、何年か企業で働いてから社会人博士を取得するケースも増えています。これからは自分が興味あるところで、自分の生活もちゃんとしながら、必要な仕事もしながらというふうに、研究者もワーク・ライフ・バランスを重視するのが普通になっていくと思っています。

ワーク・ライフ・バランスを取ってやっていくにしても、研究者の場合は、他職種と違って興味のファクターが強くなければならないと考えています。ですから、まずは興味を最優先にして、やりたいことをやってほしいのですが、生活や仕事も犠牲にしすぎないで、できるところを選んでやっていくのがおそらく必要なことだし、大事なことだと思います。

もう少し言うと、博士号を取得して損になることはないと思っていますが、メリットとデメリットはよく考えて、進んでほしいという気持ちがあります。
博士を軸にして良いとは思うのですが、取得した後、どんなキャリアを選ぶのか。アカデミアにいくのか、産業に寄せていくのか、会社に入ってからどうするのかなど、多くの選択肢が存在しますし、家族や自身の体調も考えて、多少の無理はしつつも(笑)健康は損なわないようにしてほしいです。 
繰り返しますが、今は選択肢が大きく広がっているので、昔のように、博士を取ったら教授を目指す、みたいな固定観念は捨てて、一通り情報収集してみることをおすすめします。選択肢を捨てないでほしいというか、全部見た上で、この選択がいいよねと心から思えるようにしていくことが、後で後悔しない「納得」に繋がるのではないでしょうか。

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