アラヤ株式会社:https://www.araya.org/
先端AI開発部 流体解析エンジニア、シニアテックリード 福本浩章
事業内容:AIアルゴリズム・プロダクト開発(ディープラーニング事業・エッジAI事業・自律AI事業)
株式会社アラヤは、『人類の未来を圧倒的に面白く!』をミッションとして掲げ、ディープラーニングを含む機械学習アルゴリズムを駆使し、ビジネスに関わる予測モデルや画像認識アルゴリズムの構築を行うとともに、人類にとって未解決である“意識とは何か“を解明し、世界初の汎用AI(強い人工知能)の開発を目指しています。
今回は同社の先端AI開発部 流体解析エンジニア、シニアテックリードの福本様にお話を伺いました。
流体というのは、水や空気を代表とする気体や液体のことです。流体が関係する製品は、車、ファン、飛行機など数多くあります。流体解析は、そのような流体が関係する製品の設計になくてはならないものですが、課題があります。
コンピュータを使って流体の動きをシミュレーションし、解析する(Computational Fluid Dynamics: CFD)には、計算機リソースをかなり消費しています。そのため多くのCPUやGPUが必要になりますし、かつ、その多くのリソースを使っても計算時間がかなりかかってしまいます。そこで、このような問題をAI技術の進歩の力を借りて解決しようとする動きが、近年さまざまな分野で活発になっています。弊社には、流体×AIの専門家が在籍しており、多くの企業様からのご要望を受け、CFDとAIを組み合わせた受託開発を長年にわたり手掛けてきました。
その中で、従来のCFD×AIに限界を感じ、実際の設計で使えるレベルに達するには、革新的なAIの開発が必要だという結論に達しました。
問題点は、2つあります。AIの学習時には、CFDを使用して生成した大量の正解データが必要ですが、初めに申し上げたとおり、現状、計算機リソースがかなりかかります。従って、まず、正解データを大量に用意するのが難しいことが挙げられます。
もう一つ、AIモデルの内部はブラックボックス的であり、予測の根拠付けが非常に困難であることから、信頼性が低くなるという問題もあります。「設計は意思決定の連続」と言われるように、そのプロセスは多くの選択や判断の積み重ねで成り立っています。そのため、実際の設計に適用するためには、なぜそれが良いのか明確な根拠がないと、解析結果を信用できなくなってしまうのです。
これらの問題を解消するために当社が開発したソリューション『NeumaticAI』では、独自のCFD×AIのハイブリッド技術により、予測の高速性と結果の信頼性の両立を可能にしています。予測の高速性について例を挙げると、今まで多くのCPUを使って1日かかっていた計算が、1GPUを使って数時間でできる、といったイメージですね。
すでに多くのお客様からお声がけをいただいており、今後も多くの機能アップデートを予定しています。
当社は、研究を重視する社風や風土が根付いている企業です。社長や幹部社員には研究者出身が多く、技術志向が非常に強いことが特徴です。また、「研究開発部」という、論文の発表を含めた研究活動を専門とする部署が設置されており、研究を事業の柱の一つとして位置づけています。また、私が所属する「先端AI開発部」では、メンバーが自由に新規事業を提案できる環境が整っており、実際に、高信頼かつ高速な空力特性予測ソリューション『NeumaticAI』のようなプロジェクトが複数推進されています。最先端の技術に携わることができ、それを活用して開発を進め、社会実装を現実にしやすい会社だと思います。
開発する新規事業はどれも技術力の高いものであり、その開発においても高い技術力を持つ人材が求められます。研究者レベルの高い技術力を持った人たちと一緒に働き、新しい技術を学び、常に知識をアップデートさせていけるのは、魅力ではないでしょうか。
研究者や技術者は特定の分野に深く集中するため、視野が狭いというイメージを持たれがちです。しかし、私たちは、急速に変化する技術環境やプロジェクトの要件に柔軟に対応するためには、大きな観点を持つことが大切だと感じています。例えば、ビジネス的な観点で言うと、自分が作りたいものを作るのではなく、クライアントや社会が本当に求めているものを自ら発見し、解決策も見つけて、それに基づいた研究開発や業務を行える人を求めています。つまり、課題発見能力と課題解決能力の両方を兼ね備えた人です。
さらに、現代のテクノロジーの最先端を理解し、全体像を把握した上で、実現可能かつ課題を解決できる適切な技術を選択するセンスを持つ方がいいと思っています。