大熊ダイヤモンドデバイス株式会社:https://ookuma-dd.com/
代表取締役 星川 尚久
事業内容:ダイヤモンド半導体の研究開発
大熊ダイヤモンドデバイス株式会社は、ダイヤモンド半導体の研究開発を行う企業です。大熊ダイヤモンドデバイス株式会社の代表取締役 星川 尚久様にお話を聞きました。
ダイヤモンド半導体を社会実装する。これが、一つのミッションと言えるかと思います。
ダイヤモンド半導体は、昔から「究極の半導体」と言われる一方で、長らく実現不可能であると思われてきました。
というのも、ダイヤモンド半導体は、1980年代から研究されているにもかかわらず、なかなか実用化に至らなかったからです。理由は2つあり、一つは、ダイヤモンドが研磨剤や量子センサーなど、多様なものに使えるので、研究者の研究トピックが発散してしまったこと。もう一つは、当時には、そもそもダイヤモンド半導体の特性が必要とされいなかったことが挙げられます。
近年は、宇宙や次世代通信といった新たな市場が勃興しているため、ものすごいポテンシャルを持つダイヤモンド半導体に対して、注目が集まっています。そういった意味でも、は、今まさに時代に求められていますので、そこに対してちゃんと社会実装まで持っていくということは、私たちの責任だと考えています。
当社は、東日本大震災による福島第一原子力発電所での事故をきっかけとした国家プロジェクトで集結したメンバーが中心となっています。
高温や放射線に強く、自己発熱で劣化しない唯一の材料がダイヤモンドです。強い放射線が当たると、金属は骨粗しょう症のようにスカスカになってしまうのですが、ダイヤモンドだけは壊れません。そのため、福島第一原発の燃料デブリを取り出す時のような極限環境下にて電子デバイスを動作させるには、ダイヤモンド半導体が不可欠です。
このように、ダイヤモンド半導体は、福島第一原発の廃炉計画順行に必須の技術でもあるので、私たちは、「日本を救う」という気持ちを強く持っています。
また、当社は、世界初となるダイヤモンド半導体工場の建設・稼働を予定しています。ダイヤモンド半導体の会社は、世界中に10社ほどあるのですが、すべてファブレス(*製品製造のための自社工場を持たない製造業の業態、またはそのメーカーのこと)で、工場を作っているところは一社もないんです。
他社はダイヤモンド半導体の製造が出来ません。だからこそ製造拠点を誰かが最初に作って、量産技術を突き詰めていくということをやらないと、産業化には至りません。
そういった意味で、当社のダイヤモンド半導体工場が、日本から新たな半導体産業を興す最後の機会となり得る、とも言えます。
大まかに言うと、注目する点は3つあります。『やり抜く力』『知的探究心』『実験に対する姿勢』です。
まず、ダイヤモンド半導体を社会実装するためには、取り組むべき技術的課題が多岐にわたります。ですから、この挑戦に対して「自分たちの手でちゃんと社会実装まで持っていきたい」という強いモチベーションを持っている方に来てほしいです。
また、当社で研究職として働く場合、専門分野の異なる研究者とコミュニケーションをとりながら多様な技術を扱います。そのため、さまざまな技術に関する知識を積極的に身につけたいと思っていただける方を求めています。そういう意味では、勉強が嫌いな人には結構ハードかもしれません。
もちろん、最初からあらゆる分野に精通している必要はありません。意欲があれば大丈夫です。ちなみに、現在所属している研究者のバックグラウンドは、アカデミア出身者と企業出身者が半々くらいです。
3つ目は、やはり実験が好きな人が望ましいでしょうね。クリーンルームの中での実験が苦にならない人といいますか。クリーンルームでの作業は、常に気を張り詰める必要があり、それなりに大変です。
まず、人類における『科学技術の最先端』に身を置けるところですよね。当社がダイヤモンド半導体を作ることによって、人類の技術が更に一歩先に進むことができるという、まさに、今はそのタイミングです。
また、実は「大熊ダイヤモンド」という社名の由来は福島第一原発のあった大熊町という地名に由来しています。そこには事故発生から十数年が経過しても、未だ解決されていない、人類で誰もやったことのない技術チャレンジが存在しています。
加えて、研究者が働きやすい環境作りという点でいうと、当社には形式ばった仕事はあまりないので、各々がやりたいように実験に取り組むことが出来ます。このような自由度の高さは、研究者の方のやりがいにつながると考えています。