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博士学生に知ってほしい研究者の働き方:とあるアカデミア研究者の一日

研究者の一日と聞いてどんなイメージを持ちますか?講義以外は自由に仕事しているイメージでしょうか?あるいは、一日中研究室にこもって実験をしているイメージでしょうか?中高生時代の私は、研究者というのは365日24時間ずっと研究のことばかり考えていて、実験の結果に一喜一憂しているのだと漠然と想像していました。しかし、実際に自分が研究者として生活を送ってみると、実験に没頭するのがその全てではないことに身をもって気付かされました。今回の記事では、アカデミア研究者である私のとある一日をご紹介します。博士学生の皆さんが今後のキャリアを選択する参考になれば幸いです。

  1. おわりに

自己紹介

はじめに、私の自己紹介をさせてください。私は理工学部出身で大学院修士課程から医学部に進学、修士修了の翌年度から特任助教としてアカデミアスタッフとなりました。途中で博士号の取得や他施設への異動も経験しながら、現在の大阪公立大学大学院の特任講師に至るまで、かれこれ10年ほど研究を続けている、30代後半の独身男性です。多くの研究者は博士号を取得してからポスドクや助教になるため、私の経歴は少し特殊かもしれません。いろいろなポジションを経験しつつ、少しずつ自分に合った研究生活のスタイルを確立していきました。今回はそんな私の一日の過ごし方を紹介します。生物系のアカデミア研究者を志す博士学生の皆さんの参考になれば幸いです。

朝の運動でパフォーマンスを高める

私は朝6時頃に起床し、朝食前に30分から1時間ほど運動をします。このルーティンのお陰で、「朝からこんなしんどいことを達成した自分はエライ!」と自己肯定感が高まり、一日のパフォーマンスが上がります。9時前には研究室に到着し、その日の予定、例えば私の場合は動物実験や細胞実験、病理標本の鏡検や学生講義・実習の段取りを再確認します。一つずつタスクを終わらせていきたいところですが、上司からの突発的な呼び出しや学生からの質問対応があるので、予定通りに事が進むことはほとんどありません。そこで、突発的なイベントに遭遇しても大丈夫なように実験の止めどころの把握や、実験のヘルプをお願いできる環境作りなどをしっかりと整えておく必要があります。

お昼は実験!タスク管理を忘れずに

昼食は11時半頃を目処に摂るようにしています。これは12時を過ぎると附属病院の職員の方々や午前の講義が終わった学生が続々と集まるからです。私は同じ研究室の方と昼食を摂ることが多いですが、自分のデスクで摂ることもあります。食後も特に何もなければ予定通りに実験や病理標本の鏡検を引き続き行います。実験は、その気になればいくらでも積むことができますが、私の中では1日最大3 ~ 4つまでと決めています。あまりにたくさんの実験を入れてしまうと失敗するリスクが高まるからです。実験が2〜3個程度であれば、19時頃には当初予定していたタスクを終えている状態になります。そこからその日の実験で得られたデータをまとめたり、改めてメールチェックや学生からの質問・相談対応をしたりします。20時前後には研究室を出て帰宅します。

息抜きの時間を意図的につくる

私の生活サイクルは基本的にはこのような感じで、学外への講義や出張の準備などが必要な場合は実験スケジュールをやりくりして、空けた時間に書類や発表スライドの作成を行っています。論文作成も同じタイミングで行います。私は先延ばし癖があるので、深刻な事態になってしまわないように、日々少しずつ(1単語でも!)進めることを心がけています。

研究に没頭するのは確かに研究者の本髄ですが、毎日遅くまで頑張ってしまうと、ある日急に体を壊す事になります。あえて研究以外に充てる時間を作り、定期的に息抜きをするのがおすすめです。具体的には筋トレやボクササイズなどのたくさん汗をかく運動の習慣を作ったり、研究分野以外の勉強、私の場合はプログラミングや教育論の勉強などをしたりするのが効果的だと感じています。こうした活動の中で、ふと研究のアイデアが湧いてくることもあります。

おわりに

この記事では生物系研究者である私の一日の過ごし方を紹介しました。私は独身のため1日の時間を好きに使い、自分のペースで実験や息抜きができる環境にあります。一方で家族がいる場合、例えば子供との時間を確保するために始発で出勤し、夕方17時までには帰宅する、という生活スタイルの方もいます。研究機関によるとは思いますが、コアタイムさえ守れば比較的フレキシブルに勤務時間を変えられるのがアカデミア研究者の良いところでしょう。博士学生のみなさんがもし大学で学問を続けていくことを選ぶのであれば、自身の研究者としてのパフォーマンスを高め、学生や他の研究者との連携を上手く取れるような最適な過ごし方を見つけていってみてください。

この記事の著者

藤岡 正喜 / Masaki Fujioka

大阪公立大学大学院 医学研究科 特任講師

この記事の編集

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