研究者になりたいけど、結婚や出産は研究と両立できるだろうか…」と悩んでいるあなたへ。
実際に、結婚・出産・育児を経験しながら研究を続けてきた立場から、リアルな体験をもとにお伝えします。
女性研究者が直面するライフイベントとの両立という課題に対し、制度の活用や周囲との協力によってどのように乗り越えられるのか。
実際にどうだったのか、何を工夫すればいいのか、が分かる内容になっています。
自己紹介
私は、ライフサイエンス系の研究内容で博士後期課程を修了後、企業へ就職、フリーランスのサイエンスライターや大学の研究員を経て、国立研究開発法人理化学研究所(以下、理研)の研究チームの任期付きポジションで研究をしていました。
任期終了後は企業で研究し、現在はフリーランス研究者として活動を続けています。
女性研究者の結婚事情
結論から言うと、女性研究者でも結婚は十分に可能です。私は大学院博士課程で夫と出会い、30歳で結婚しました。
データによれば、35~45歳の女性研究者の約7割が結婚しています(1)。この割合は一般の日本女性と同様です(2)。しかし、男性研究者の配偶者の約34.3%が専業主婦である一方、女性研究者の配偶者で専業主夫はわずか4.1%です(1)。
これは研究職に限ったことではないかもしれませんが、少なくとも女性研究者は共働きになることが多いため、パートナーとの協力が必要不可欠です。我が家は、夫が保育園への送り、掃除、夕食の準備などを担い、完全に家事や育児の負担が等しい状態です。
育児と研究活動の工夫:
制度とサポートの活用
理研在籍中に第1子の育児と第2子の出産を経験しました。未就学児の育児は特に負担が大きく、朝の支度や保育園の送迎時間によって研究時間が制限されるため、育児と研究のバランスを取る工夫が必要です。
私は理研の育児制度を最大限に活用し、始業・終業時間の調整や在宅勤務を取り入れ、育児中でも効率的に研究を進めることができました。理研の場合は、不妊治療に係る通院などの妊娠前サポートから育児中まで、様々な支援制度があります。加えて、研究業務が滞らないよう妊娠や育児中の研究系職員の支援者にかかる経費の助成制度もあります(3)。これらの制度は他の機関や企業でも似たようなものがある場合が多いので、ご自身で調べて活用されることをおすすめします。
また、保育園のお迎えによって退勤時間が決まることで、自然と優先順位をつけて効率よく研究を進められるようになります。そこで重要なのが、自分でスケジュールを調整できる環境作りです。私の場合はチームメンバーや上司の理解と協力に恵まれ、柔軟に研究スケジュールを調整し、育児と研究を両立できる環境を整えることができました。
研究中の出産:
周囲の人の理解と協力
結婚や育児は夫婦で協力できますが、出産は特に女性に大きな負担がかかります。私は理化学研究所在籍中に第2子を出産しました。任期付きポジションであったため、キャリアのためにも任期中に成果を上げる必要がありました。
3年の任期の中で、1〜2年目に研究結果を出し、2年目の10月末に出産、産後休業を経て、年明け1月から時短勤務で復帰。3年目の4月には第2子を保育園に預けてフルタイムで研究に戻り、論文や学会発表を通じて業績を残すことができました。
妊娠・出産というブランクがありながらも、研究を形にすることは可能です。特に出産前からチームメンバーと密に連絡を取り、自分で抱え込まず、他のメンバーと協力して役割を分担することが大切です。周囲の理解と協力を得ることで、結果的に研究全体が滞らない環境を作ることができます。
おわりに
結婚や出産、育児は女性研究者にとって大きなチャレンジですが、それを乗り越えるための制度や環境が整いつつあります。
また、制度の活用に加え、周囲とのコミュニケーションや働きやすい環境作りも重要です。
出産による一時的なブランクは不安に感じるかもしれません。しかし、人生でやりたいことを実現するために、今何をすべきかを考え、行動していくことが大切です。
女性研究者は自立していて強いと思われがちですが、一人の女性として周囲に頼ることも大切です。幸せな家庭と研究の両立を目指し、未来につながる人生を送りましょう。